AI機能搭載の天井クレーンが事故防止とクレーンの安定稼働に貢献

日立プラントメカニクスは、AI(人工知能)を活用した安全運転支援機能、インバータ故障予兆診断機能を搭載する、新モデルの天井クレーン「Aicrane(アイクレーン)」を開発した。今後、2018年9月からの実証実験を経て、2018年度中に販売を開始する予定だ。

今回新たに開発した安全運転支援機能は、クレーンに搭載したカメラとLIDARから取得したデータをもとに、AIを活用した独自の画像認識技術を用いて、作業者と吊荷対象物までの距離などから算出した危険度にもとづき減速・停止や音声アナウンスをすることで、事故の防止に役立てるというもの。

近年、国内ではクレーンによる労働災害が増加傾向にあり、その対策が急務となっているほか、クレーン作業の熟練技術者が減少しており、技能の伝承や労働力不足も問題になっている。

インバータ故障診断機能は、クレーンを制御するインバータに組み込まれた「IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)」における電圧データの変化を元に独自のシミュレーションを行うことで、寿命予測を可能とし、クレーンの安定稼働とライフサイクルコストの低減を支援する。

また、Aicraneは、2017年4月から販売している天井クレーンの振れ止め制御機能も搭載しており、吊荷の落下や衝突などのリスクを低減し、作業現場の安全性を高めるとともに、吊荷の巻き上げ・運搬時のタクトタイム短縮により、作業効率向上が図れる。

同社は、将来的にはデータやAIを活用することで、熟練オペレータの運転を再現したクレーンの自動運転の実現を目指す。