地熱発電、IoTとAIで効率アップへ

たとえ「パリ協定」がなくとも、地球の温暖化は止める必要がある。いま、再生可能エネルギーの導入拡大が望まれ、安定した出力を得られるものはベースロード電源となり得るため、世界第3位の地熱資源ポテンシャルを有する日本では、地熱発電に大きな期待がかかっている。

一方で、太陽光などによる再エネ発電コストが下落していて、地熱発電についてもより効率的な発電所運営が求められているという。東芝エネルギーシステムズは7日、あらゆるものがつながる「IoT」および人工知能(AI)技術を用いた、地熱発電所の利用率アップに向けた研究を行うと発表。今月より'20年度までの予定で、発電所のトラブル発生率を20%減らし、利用率を10%向上させることを目指す。

今回の研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成30年度「地熱発電技術研究開発」の助成事業に採択されたものであり、実際の地熱発電所内で「ビッグデータ解析技術を活用した予兆診断」および利用率を下げる原因の一つである「タービンスケールの抑制対策」を行う――。

「ビッグデータ解析技術を活用した予兆診断」では、過去やリアルタイムの運転データを分析・評価することにより、運転停止を招くトラブルを予知できるよう、分析ツールを実装し研究する。また、「タービンスケールの抑制対策」では、蒸気中の二酸化珪素など固形成分を抑え制限する薬剤添加を含む効果的なスプレー散布の研究を実施し、IoT・AI技術を用いて、薬剤使用の量やタイミングを最適化し、同成分即ちスケールの抑制を検証するという。

1966年に地熱蒸気タービン・発電機を納入して以来、この分野のリーダーであり、設備容量ベースで世界トップ23%(BNEF'17年調べ)のマーケットシェア、3,687MW、57台の納入実績を誇る。同社は今回の研究を通じ、地熱発電の利用率向上に貢献し、地熱発電の拡大に寄与していく構えだ。