4K高精細テレビに光波長を自在にできる量子ドットフィルム

TOKYO2020に向けて、より高精細映像が観られる、水平解像度約4,000の「4Kテレビ」が欲しい、と思っている人も多いだろう。日本では、地デジへの完全移行をきっかけにほとんどの家のテレビが「液晶」になったが、あれから7年、4Kテレビはフルハイビジョンの4倍の画素数なのだから――。

地デジ移行の翌年、'12年に高精細テレビ向けの新しい色域規格「BT.2020」が国際電機通信連合"ITU"で制定されて以降、メーカー各社はこの規格に対応可能なより広色域の液晶ディスプレイ開発を進めている。広色域化では、ディスプレイの色を作り出しているカラーフィルターをより色鮮やかなものに改良しなければならず、それにより表面輝度は低下――バックライトをより明るくする必要があり、消費電力が増えてしまう課題があったという。

日立化成は6日、同社の量子ドットフィルムが米国VIZIO社の新型量子ドット4Kテレビ「P-Series® Quantum 65」に採用されたことを発表した。同フィルムは、欧州連合のRoHS指令に適合した、環境負荷を低減した製品であり、液晶ディスプレイの広色域化を実現する。

量子ドットとは半導体微結晶で構成される数nm~10数nm程度の粒子で、成分やサイズの制御により、光の波長を自在に調整可能となる。また、BT.2020は、自然界に存在する物体の色のほぼ全てを表せる色域のため、従来のハイビジョン向け規格BT.709よりも表現できる色の範囲が格段に広がっている。

今回、同社の量子ドットフィルムを用いることで、「P-Series Quantum 65」は、色域規格のBT.2020を80%(VIZIO社従来品比で12.5%増)達成し、より色鮮やかな画像の表示を実現しているという。日立化成は、今後も、アジア地域や北米地域などグローバル市場で量子ドットフィルムの拡販を進め、シェアの拡大を図っていく。