AIを活用して本番環境でのIT運用自律化を支援、日立

日立製作所(日立)は、IT運用の継続的な改善を支援する「IT運用最適化サービス」を拡充し、これまで提供しているAI(人工知能)適用の効果検証支援に加え、新たに本番環境でのIT運用の自律化支援を開始した。

日立は、ITサービスや金融系など複数企業との検証により得た知見を取り入れたAIを活用し、システム状況の分析・判断や可視化など高度なスキルが必要なIT運用業務の自律化を促進する。

具体的には、システムの警告メッセージ発生時のエンジニア呼び出し要否判断にAIを適用することで人的な判断ミスを抑制する。また、障害予兆検知においても、システムサポートの熟練者などのノウハウをAIに取り込み分かりやすく可視化することで、経験が浅い担当者でも対応を可能にする。運用ノウハウの属人化を解消し、安定した運用品質の確保や業務効率の向上を支援する。

近年、様々な分野でデジタルビジネスの創出に向けた取り組みが加速する中、企業のIT部門では、変化し続ける顧客ニーズに即応した新たな価値を創出するシステムの確立が求められている。

同社では、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」などを通して培った豊富な運用ノウハウを生かし、2017年7月に「IT運用最適化サービス」の提供を開始し、企業におけるIT運用の変革を支援してきた。さらに、属人化を解消しIT運用の品質や効率を向上するニーズに対応するため、ITサービスや金融系など複数の企業とAIを活用した運用自動化に関する検証を実施し、実運用への適用に取り組んできた。

今回、日立は、本番環境においてAIを活用しIT運用の自律化を支援するため、IT運用最適化サービスを拡充。ユーザーとの検証や日立のサポートサービスなどで培ったノウハウを実装したIT運用向けのAI基盤「AIプラットフォーム」を新たに提供する。また、「継続支援サービス」において、AI適用効果の評価と改善を行なうメニューを追加。既存の業務システムや業務プロセスに影響を与えることなくAIを適用でき、高度なスキルが必要な様々なIT運用業務の自律化を促進できるという。

例えば、システムの警告メッセージ発生時に、オペレーターによるエンジニアの呼び出し要否判断をAIが支援することで、人的な判断ミスを抑制。頻繁に起こる運用マニュアルの追加・変更の際にも、これまでの学習結果を踏まえ要否判断を類推できる新たなAI技術により、再学習をすることなく、精度の高い判断を継続することが可能だという。

また、障害予兆検知では、日立のシステムサポートの熟練者などのノウハウを基にした学習モデルにより、正常時のシステムの性能状況との乖離を検知し、推定要因を分かりやすく可視化。経験が浅い担当者でも障害要因を把握でき、障害発生前にシステム負荷を分散するなどの対処が可能となる。

今後も日立は、月次のシステム稼働レポート生成から問題点の抽出・改善提案までをAIにより自動化するなど適用業務を拡充し、IT運用の自律化をさらに促進する計画。また、AIが各運用業務の情報を横断的に把握・分析することで、各業務の運用担当者では発想することが難しかったITシステム全体の最適化など、戦略的なIT環境の実現を支援し、企業の新たなビジネス価値創出に貢献していくという。