富士通が国内ITサービス市場のベンダートップ、NEC、日立製作所が続く

IDC Japanは、2017年の国内ITサービス市場のベンダー売上ランキングを発表した。トップ5は富士通、NEC、日立製作所、NTTデータ、IBM。上位7社の占めるシェアが徐々に縮小、特にトップ5の占める比率が減少傾向にある。

2017年の国内ITサービス市場規模は5兆5,389億円、前年比成長率は1.4%だった。ベンダー売上の上位5社は、1位から順に富士通、NEC、日立製作所、NTTデータ、IBMとなった。2013年以降この順位に変動はないが、直近の3年間で7社の占めるシェア、特にトップ5の占める比率は徐々に減少している。また、NEC、日立製作所、NTTデータの3社の売上額の差が縮小し、2017年ではほぼ横並びの状態となっている。

サービスセグメント別で見ると、プロジェクトベース市場では、流通における大規模案件終了の反動に自治体からの指名停止措置が重なったNECを除き、上位ベンダーはいずれもプラス成長だった。テクノロジーアウトソーシング市場でも、大規模案件終了の反動減のあったIBMを除いて全ての上位ベンダーがプラス成長であり、特にアクセンチュアが前年比22.7%増と高い成長率を示した。サポート&トレーニング市場では、上位10社のうち6社がハードウェアサポート&保守でのプラス成長が寄与し、前年比増となっている。

産業分野別では、金融は銀行における大規模統合案件終息の影響は残ったものの、総合するとランキングの変動はなかった。製造では、アクセンチュアが製薬や化学、組立製造に牽引され、順位を2つ上げて6位に上昇し、政府/公共においても順位を上げた。他に、通信/メディアでは通信事業者向けが好調だったSCSK、その他ではサービス向けを中心に中小規模の案件を積み上げたTISが、それぞれ前年よりランクアップする結果となっている。

大手ITサービスベンダーの中で前年比売上額成長率が最も高かったのは、アクセンチュアだった。デジタルトランスフォーメーション(DX)への積極的な取り組みに加え、従来型のSIやテクノロジーアウトソーシングの着実な拡大により、全サービスセグメント、全産業分野において2桁成長を示し、3年連続の売上額成長率1位となっている。

国内ITサービス市場では、第3のプラットフォームや、その上で展開されるコグニティブ/AIシステムやロボティクスなどのイノベーションアクセラレーターの活用が実用段階にシフトしつつある。一方で、第2のプラットフォームに対する需要も根強く残り、そのためもあって人材不足はますます深刻化している。

IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストである吉井 誠一郎氏は「顧客が求めるゴールを正しく認識し、新しいテクノロジーの活用によって、少ない人材でもそのゴールに対応できる能力を強化することが求められる」と述べている。