東京都、人工知能(AI)と熱中症予防

今年の夏は生命の危険を覚えるほど暑い。実際、熱中症による救急搬送は7月9日~15日全国で9,956人、16日の週が22,647人、23日の週が13,721人(いずれも消防庁速報値)。同月の気温は埼玉県熊谷市で41.1度を記録するなど、東日本で史上最高となった。

オリンピック・パラリンピックが開催される東京では7月24日、最高気温35.3度を記録した。"東京2020"は2年後のこの日から競技が本格化するわけで、選手のみならず、応援・観戦者も酷暑対策が必須だろう。オリパラ以外でも、首都は働く人も観光客も引きつけているし、さまざまなイベントで人が集まることが多い。

そこで今年8月1日、ヤフーは東京都と共同で、官公庁のオープンデータとヤフーのビッグデータ・AI技術を掛け合わせ、イベント会場など混雑する場所の熱中症リスクを高精度に予測する実証実験を、都内にて開始した。同実験は、東京都がビッグデータ分析技術の活用方法等の検討を行う「熱中症予測実証実験」の取り組みの一つだという。

熱中症リスクの予測にあたっては、「環境省熱中症予防情報サイト」で公開されている熱中症予防を目的とした気温以外の要素も含む「暑さ指数(WBGT)」のオープンデータと、ヤフーが保有する位置情報ビッグデータを元にした、暑さ指数の上昇要因になるとされる混雑情報を用いる。双方を掛け合わせたビッグデータをAIの技術基盤(機械学習)を用いて解析し、独自の熱中症リスク予測を約125m四方のエリア単位で行う。

両者は、混雑情報を掛け合わせることにより、イベント会場およびその周辺など混み合うエリアで特に上昇する熱中症リスクを、ピンポイントかつ高精度に予測する。この実証実験を踏まえ、さらなる検証・改善を重ね、東京都の熱中症予防対策への活用を目指す。そして、「データフォレスト構想」を推進しているヤフーによるサービス化も視野に入れているという。