ドライバーの安全IoT、スマホアプリで自身も健康睡眠管理

緑のナンバープレートはプロフェッショナルの証――。だが、大型車両が絡む交通事故が跡を絶たない。日本ではネットショッピングの盛り上がりなどによる貨物量の増加のほか、生産年齢人口の減少という社会問題を背景にした慢性的な人手不足が、運輸業界を苦しめている。

そこでせめて居眠り運転に起因する事故を防止しようと、国土交通省は「睡眠不足に起因する事故の防止対策を強化」。今年6月1日から、バス・タクシー・トラック事業者における乗務前点呼などを義務化した。それらを義務付けるとともに、先進安全自動車(ASV)の導入や運行管理の高度化などの領域で「事故防止対策支援推進事業」を実施していて、要件を満たした事業者へ自動車事故対策費補助金を交付する。

そして7月30日、ドコモ・ヘルスケアは同社が提供するウェアラブル活動量計「ムーヴバンド®3」および計測データの管理ツール「健康サポートLink」が、国交省の上記推進事業において、「過労運転防止に資する機器」に認定され、ユーザー企業はこれらの導入費用の一部について補助を受けることが可能になったことを発表した。

――昨今、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術が発展していて、産業界はその応用分野として医療機器やコネクテッドカー(つながる車)などの研究開発に注目しがちだが、「安全の実現は人に始まり人に終わる」ゆえにまず人と人の行動データを適切な仕組みにつなげることが重要だ。

「ムーヴバンド®3」は腕につけて寝るだけで、自動的に睡眠の開始時刻、終了時刻、深さを記録する。乗務員は無料のスマホアプリ「WM(わたしムーヴ)」を使って自身の睡眠状態を見られるため、点呼の際に正確な睡眠時間の報告が可能となる。また管理者は、乗務員が計測した睡眠時間や睡眠の深さなどの健康データを管理ツール「健康サポートLink」で確認でき、遠隔からでも簡単に睡眠状態が把握できるという。