片足立ちや握力測定などで2型糖尿病の発症リスクを評価

生活習慣病の代表格のように言われる、糖尿病は、厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年版で総勢約316.6万人が罹患している。予備軍をあわせればその数はおよそ1,000万――と、昨年推計されている。

糖尿病の発症リスクを高める要因は大別すれば2つ。主に遺伝子を素因としたインスリン分泌不全と、生活習慣など環境因子によるインスリン抵抗性とがある。中高年が気づかぬ間に進行することの多い「2型糖尿病」は、生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなるもので、食事療法や運動療法、飲み薬が処方される。(参考資料:糖尿病情報センターWeb

2型糖尿病について、東北大学、新潟大学、医薬基盤・健康・栄養研究所の共同研究グループは、新潟ウェルネススタディの一環として、新潟県労働衛生医学協会の健診データを用いて、20~92歳の成人を対象とした追跡研究を行い、握力テストおよび閉眼片足立ちテストの成績が同病の発症リスクと関連することを明らかにした。

21,802人を6年間追跡し、体力テスト(握力、垂直跳び、閉眼片足立ち、立位体前屈、全身反応時間、仰臥位足上げ)の成績と2型糖尿病の発症リスクの関連を検討した。結果、体重当たりの握力の成績が悪ければ悪いほど、2型糖尿病の発症リスクは高かった。また、閉眼片足立ちの成績が良い群と比較して、成績が悪かった群の2型糖尿病の発症リスクは高い値を示したという。

今回の研究は、筋力やバランス能力を評価することで、従来の全身持久力による評価より比較的簡便に2型糖尿病の高リスク者を把握できる可能性を示していて、2型糖尿病の予防を目的とした体力測定の重要性を示す重要な報告となっている。成果は、2018年7月28日に、Journal of Epidemiology(電子版)に掲載されたとのことだ。