さらに両社は眠気の兆しが見えた早期の段階で刺激を与えることが、覚醒度を保つのに効果的であることも明らかにしたという。覚醒度とは、脳の興奮度(リラックス-緊張)を示す指標のこと。自動検出する方法として、自動車業界では目の動きを調べる方法などがドライバーの居眠りを検出技術として研究されている。
知的生産性を高めるには、眠気をおさえて覚醒度を適切に保つことが重要だと言われている。今回、覚醒度を適切に保つにはどのような方法・タイミングの刺激がよいかを確かめるため、定期的に被験者の覚醒度を測りながら、空調(温度)・照明(照度)・アロマ(芳香)それぞれの刺激を与え、覚醒度の変化を検証した。
具体的には、環境条件を所定のタイミングで変化させた際の被験者の覚醒度変化を確認する実証実験を実施した。被験者には、眠くなりやすいタスク(2桁の加算暗算)を与え、5分毎に眠気を5段階で申告してもらうとともにカメラにより眠気を推定した。
検証の結果、空調による温度刺激では、環境変化を与えない場合と比較して平均の覚醒度が5段階中、最大で約2段階分上昇し、さらに45分以上眠気を抑制し続けることが分かった。また、照明やアロマによる刺激では、環境変化を与えない場合と比較して、覚醒度が最大0.5段階分上昇することを確認した。
さらに既に眠い状態になってからではなく、眠気の兆しを検出した時に刺激を与えることで覚醒効果が大きくなり、その効果は温度・照度・芳香刺激など、刺激の与え方や組み合わせで高められることが分かったという。
両社は今回の検証をもとに、まぶたの開度から眠気の兆しを検知して、空調・照明を組み合わせた刺激を与えるプロトタイプの制御システムを構築。2018年7月からダイキン工業(40平米)・NEC(200平米)の検証用オフィスにて、執務中の覚醒度データを取得して空調・照明の環境制御を行うフィールド実験を開始した。