2017年国内エンタープライズインフラ市場は富士通がトップに
2017年の国内エンタープライズインフラ市場は、前年比1.7%増の6,346億円だった。富士通が前年比0.8%増でシェア23.2%を獲得して1位。次いでNEC、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)、日立製作所、IBM、Dellの順となった。上位ベンダー6社のうち、前年比プラス成長を達成したのは、富士通、HPE、IBMの3社で、逆にNEC、日立製作所、Dellの3社はマイナス成長だった。
IDC Japanは、上位ベンダー6社の明暗を分けたのは、主にメインフレーム関連ビジネスにおける更新案件の変動によるところが大きいと説明する。富士通およびIBMはメインフレーム関連ビジネスが好調だったが、NECおよび日立製作所は低迷。メインフレーム関連ビジネスは更新案件が大半を占めており、更新需要には山と谷がある。さらに更新需要の山と谷のサイクルはベンダーごとに異なるといった特徴が現われたという。
HPEとDellの明暗を分けたのは、主にx86サーバービジネスにおける市場カバレージの差にあるとIDCではみている。主要なディストリビューターにおける両ベンダーの競合状況は、ディストリビューターにおけるインナーシェアの増減といった観点からはDellに勢いがあったが、システムインテグレーターなどを通した市場カバレージはHPEの方が広いとIDCではみている。HPEはx86ブレードサーバやIA64サーバでのミッションクリティカル領域における実績を通して大企業でのペネトレーションが高いからだという。
また、国内エンタープライズインフラ市場をシステムタイプ別に見ると、SoRが全体の42.4%、SoE/SoIが11.4%、Otherが46.2%を占めた。前年比成長率は、SoRが3.1%増、SoE/SoIが1.4%増、Otherが0.6%増だった。
過去3年間のシステムタイプ別売上額を見ると、SoR、SoE/SoI、Otherの3つのカテゴリーの構成比に大きな変動はなかった。しかし、同市場の売上額は2017年にプラス成長となったものの、2015年との比較では10%以上縮小している。
さらに、SoR向けエンタープラズインフラビジネスでは、顧客カバレージといった観点からシステムベンダーの棲み分けが進んでおり、他社競合から顧客を奪うことのハードルは高くなっている。また、SoE/SoI向けやOtherシステムタイプ向けエンタープライズインフラビジネスでは、ODM Directの存在感も徐々に増してきている。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーである福冨 里志氏は「サーバベンダーやストレージベンダーが留意すべきことは、主に次の2点である。一つは、サーバやストレージ関連製品の開発コストの捻出方法、もう一つは外付型エンタープライズストレージシステム(External)の採用機会の減少である。システムベンダーは、これら2点に対して中長期的な戦略、つまり事業構造の転換を図るための具体的かつ実現可能なプランを持ち、遂行していくことが求められている」と述べている。