専用ソフトなしにBIMデータを3次元ビュー、皆で活用する

インフラ再整備やビルの摩天楼化、五輪特需などで活況を呈する、わが国の建設業界は、根本的な社会問題に直面している。少子高齢化などを背景にした労働力不足に頭を抱え、生産性の向上に苦心している。

そこで国土交通省はICT(情報通信技術)を全面的に活用して全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す「i-Construction」を推進――。実際、建築設計や施工現場では、多様な関係者間の合意形成や事前デジタル検証、ICT活用など、生産性の向上手段としてコンピュータを使ったBIM(3次元建物情報モデリング)の適用が進められている。

しかしその導入にあたっては専用ソフトウェアや専門技術者を要するうえ、社外関係者間との大容量のBIMデータ共有手段も課題となり、大勢のステークホルダーのうち特定の事業者間でしかBIMデータを活用できていないという。日立ソリューションズはきょう、3D建物モデルをBIM専用ソフトなしに3Dビューアで参照でき、関連情報とともにシェアして活かせられる「活文 BIMデータ共有・活用ソリューション」を31日から販売開始すると発表した。

同ソリューションは「企業間情報共有システム」技術をベースにしていて、総合建設業者(ゼネコン)や、建築工事や電気設備工事、空調・衛生工事などの下請建設業者(サブコン)の設計者が個別に作成したBIMデータを、大容量高速転送技術で転送して一元管理。関係者と迅速に共有できる。BIMデータを統合し検証した結果や、課題、変更点などの情報も紐付けて管理できるため、課題や修正の意図が伝わりやすくなり、ゼネコンやサブコンの各設計者の迅速な修正が可能になる。

さらに、更新後のBIMデータは自動で版管理され、誰がいつ設計変更したのか、履歴とともに確認でき、手戻り防止につなげられる。結果、早期の合意形成や課題解決、建築プロジェクト全体の生産性向上を実現できるという。