AIを活用したオンデマンド交通の実証実験を開始

東芝デジタルソリューションズと順風路は、AI(人工知能)技術を活用した、タクシー・バスなどの乗合いオンデマンド交通の実証実験を開始した。ディープラーニングによる需要予測で、交通困難者対策・地域活性化に貢献を目指す。

近年、人口減少に伴う路線バスの廃止や運転免許を自主返納する人の増加など、高齢者を中心に交通困難者が急増している。また、観光客の誘致や地域住民の交流など地域活性化が期待される中、安価で便利な交通手段が求められている。

順風路は、東京大学と共同で乗合いオンデマンド交通システム「コンビニクル」を開発し、2009年から稼動を続けている。コンビニクルは、顧客からランダムに入るスマートフォンアプリや電話からの乗降車場所・時間の要望に応じ、ルート、スケジュール、乗車人数など運行計画を自動で設定するシステム。タクシーよりも安価でバスよりも便利な交通手段として、コンビニクルで運行される乗合いタクシーやバスは、全国42箇所で毎月約6万5千人が利用しているという。

今回の実証実験では、需要予測による効率的な運行計画の設定を目指し、順風路が約9年間の運行実績で収集したデータに気象情報・交通情報などの外部環境データを統合したビッグデータを、東芝デジタルソリューションズが幅広い事業領域で培ってきたディープラーニングをはじめとする豊富なノウハウを結集した東芝アナリティクスAI「SATLYS(サトリス)」を用いて需要予測する。

数週間程度先までの乗降車場所や時間・人数の需要を予測し、地図上に「見える化」することで、配車数の事前調整などに活用します。さらに、需要を見込んだイベントなど街づくりの活性化の検証も行う。

今後、東芝デジタルソリューションズと順風路は、需要予測の実証を重ねていき、その成果は、コンビニクルの機能改善や地域活性化への利活用などに展開していく。また、実証実験は、承認済みの千葉県内の地域経済牽引事業計画をパイロットケースとし、現在順風路が展開している全国42カ所をはじめ全国の都市部へ展開し、今後地域経済を牽引する各運送事業者等に波及させていく。