企業向けネットワーク機器市場は"ワイヤレスファースト"へ

企業・団体でデジタル情報を処理・加工・蓄積するためのIT(情報技術)システムは、主にコンピュータ本体、ストレージ、ネットワークの3要素で構成されていて、基幹ソフトウェアがこれら資源を管理し、アプリケーションがデータを情報にしたりする。

そうして構内にあるPC同士、モバイル端末や遠隔拠点にあるシステム/PCとの間で情報を交換する。組織内の通信経路にあるのは、企業向けイーサネットスイッチ、ルーター、無線LAN機器であり、これらネットワーク機器の国内市場について、IDC Japanは昨年実績と予測を発表した。同市場は'17年、成熟化の動きに反して前年比8.3%増のプラス成長を果たし、その規模は支出額ベースで約2,223億円。

どの製品分野も前年を上回り、イーサネットスイッチ市場は、成熟市場でも例外的に成長する「特異年」にあった。データセンター/パブリッククラウド向けを中心に需要が伸びたことと、企業や大学の既存スイッチの更新が進んだことで2桁成長を達成した。

企業向けルーター市場も、拠点設置が多いローエンドとSOHO版は出荷台数を大きく伸ばした。背景には、「クラウド利用の拡大」と「多機能かつセキュアなWANサービスに対するニーズの増加」によるVPNサービス市場の成長があったと同社は分析している。また、無線LANは企業ネットワークのアクセス領域(エンドデバイスの接点)における主流技術になっていて、出荷台数・市場規模ともに'16年を大きく上回ったという。

今後これらネットワーク機器市場では、「ワイヤレスファースト」の動きが本格化。その結果、市場全体の'22年までの年間平均成長率(CAGR)はマイナス2.4%となる。イーサネットスイッチ市場は、無線技術との競合、製品のコモディティ化およびダウンサイジングの進展によって成長が抑制されるだろう――などと予測する。詳細はIDCレポートで確認できる。