サーバの冷却効率を2倍にする放熱技術を開発、NEC

日本電気(NEC)は、データセンターにおけるサーバの冷却効率を2倍にさせる低圧冷媒を用いた圧縮放熱技術を開発した。この技術は、NEC独自の「相変化冷却システム」を高度化するもので、夏場の高温環境でも、データセンター全体の消費電力を最大20%削減できる。

この技術は、地球温暖化係数(GWP)が小さいとされる低圧冷媒を用いて、サーバラックから排出された熱を、外気温が高温でも、直接屋外に輸送し放熱できる流路設計技術。長年、パソコンやプロジェクターなどの電子機器で培った緻密かつ洗練された冷却技術の知見を、空調システムに応用した。

この技術により、他の空調機を設置することなく、相変化冷却システムだけでデータセンター内のサーバを高効率に冷却できるため、電力効率指標(PUE)の向上が図れる。また、空調機の追加が不要となるため、既存のデータセンターにも導入しやすいという。

低圧冷媒は、高圧冷媒と比べて安全性が高い一方、潜熱や圧力勾配が小さいため体積流量が大きくなり、冷媒をスムーズに流す配管設計が非常に難しいとされている。そのため、冷媒を圧縮する空調用途への適用は進んでいなかった。

今回、低圧冷媒の物理現象を把握し、円滑に流せる緻密な流路技術を開発。これにより、冷媒をサーバルーム内に引き込み、サーバラックからの排気熱がサーバルーム内に拡散する前に吸熱させ、建屋外まで運んで放熱することを可能にした。従来必須であった空調機のファンが不要となり、空調電力の大幅な削減を実現している。

今回、インド南部のデータセンターにおいて、通常のデータセンターのラックより2倍の発熱量となる、7.5kWのラックにて実証を実施した。この技術により、外気温35℃の状況で、既設の空調機と比べて、空調電力を半減させ、実証ラックの総電力量20%削減できたことを確認している。

今後、NECは技術のさらなる向上を図り、2020年度までに製品化を目指す。