再生エネ大国にて、電力供給量に応じた自動空調制御を実証

種子島にそれが着いて"以後予算"が増えた。1543年の「鉄砲伝来」がなければ織田vs.武田による長篠の戦いの結果は変わっていたかも知れず、今の日本の姿も違うものに――。なっていたかはともかく「南蛮貿易」といわれた、ポルトガルとの交易・交流は、470年以上の歴史を重ねている。

パンやコップ、ボタンやタバコに金平糖も言葉とともに伝えられた、当時日本からは金銀・刀剣が輸出された。イベリア半島南西部の国民は現在1,000万人超。首都リスボン圏内に280万人以上(駐日ポルトガル大使館ウェブより)が暮らしている。ポルトガルは、風力発電や水力発電など再生可能エネルギー政策を積極的に進めていて、EUでも有数の大量導入国となっている。

一昨年4月の4日間は再生エネが全国の電力需要を満たし、昨年は総電力消費量の約44%を再生エネで賄った。そして今年3月には同国1ヶ月分の電力需要を上回る発電量を記録した。エコ先進国は再生エネの宿命にも直面――その発電量は自然環境にも左右されるため、ただいま電力需要ピーク時の安定供給が課題になっているという。

NEDOとダイキン工業は、リスボンにて、これまで構築を進めてきた「自動デマンドレスポンスシステム(ADR)」を来月から運転開始。現地の電力小売事業者やバーチャルパワープラント(VPP、複数の中小規模再生エネ発電施設をまとめる)事業者と協業し、電力の供給状況に応じて空調機器の電力消費量の上限を自動制御し、再生エネを安定使用するための検証を行う。

夏季など高需要期の再生エネ利用率の最大化に向けた電力需給調整や、電力小売事業者向けの事業モデルも検証する。リスボン市庁舎など市内4カ所の施設に、ADRおよび蓄冷機能を付加したビル用マルチエアコンを設置している。ダイキン工業は、今回の実証結果を踏まえて、ポルトガルおよび欧州各国・地域での空調ADRの展開を目指すという。