点呼をデジタル化、運輸の安全精度をより高くする

警察庁によると、平成29年の交通事故事故件数は472,165件、負傷者数は580,847人。それぞれ前年比で-5.4%、-6.1%となっているが――。交通事故の撲滅は、運送事業者も念願している。

運輸省令第二十二号に定められた運行管理者の業務は、ドライバーの労務管理、運行スケジュール管理、ドライバーの教育など多岐に渡る。なかでも乗務前・乗務後の点呼については、ドライバーごとに異なる時間帯で実施するため、各事業者が非常に多くの時間・労力を費やしている。が、所属ドライバーが多く、複数の運行管理者がいるような営業所では、さまざまな情報を引き継がなければならず、課題も多い。

各ドライバーの既往症や健康管理の状況、前日の運行状態、健康状態などの引き継ぎが難しく、点呼は精度に課題があるという。日本通運と日通総合研究所は、国土交通省の「平成30年度交通運輸技術開発推進制度」に応募し、「機械化技術の採用による点呼精度向上の研究」テーマが今月1日に採択されたことを公表した。

点呼に自動化技術――自動点呼システムサーバを軸にした運行管理者との交信、各拠点での「自動点呼機」利用、地図・天気・渋滞やドライバー・車両・運行データ等外部システムとの連携――を導入し、点呼の精度を向上させる。と同時に運行管理業務の省力化を図ることを目的に、NTTドコモ、東海電子、有識・学識者等の協力のもと、3年間の研究を予定している。

免許証等の所持品や健康状態の確認、アルコールチェック、運行指示などを行う自動点呼機を試作・実用して効果を検証し、有識者等の意見を踏まえ、運行の可否判断に必要な健康管理上の項目や基準値を検討する。点呼のデジタル化によって、安全な運行に寄与し、運行管理者の負担軽減をめざすという。

日本通運は今回の研究成果を多くの事業者と共有し、その先にある「事故をなくす」運行管理の高度化にも取り組んでいく構えだ。