病院内の電波群を見える化、最適な環境へ

大病院の待合で、もしや構内のコンビニか喫茶店につながるかもと、スマホのWi-Fi設定画面を見て筆者は驚いた。医療分野のデジタル革命が進んでいることを実感した。すべてセキュリティロックされている、大量のネットワークIDが、事務・看護・医療系システム群の存在を示唆していたのだ。

それは今年の春のことであった。そして今日――。

病院や救急救命センターなどでは、医用テレメータ(無線モニタリング装置)や電子カルテなど電波を使う医療情報機器の導入が急速に進み、利便性が向上している。一方、スマホなどの無線デバイス、LED照明など省エネ機器の増加に伴い、電波に関わるトラブルが増加している。このようなトラブルの解決には、施設内での電波の届く範囲や電磁ノイズなどを総合的に判断した上で対策を施す必要がある。

病院スタッフ、医療機器メーカ、通信事業者、建設事業者などが相互に情報を共有し、適切な電波環境計画(受信アンテナの配置や内装部材の検討など)と定期的な電波管理(電界強度の測定など)の実行とが重要になる。がこれらは病院スタッフに著しい負担を強いるうえ、工学系の専門的な調査や対策に多大な時間と労力を要し、さらに施設全体での電波環境を把握しにくい等、様々な課題があったという。

大成建設は、建築物の計画・設計や運用管理で実績のあるBIM(ビル情報モデル化)、電波環境シミュレーション、電波調査・計測にかかる技術を組み合わせ、病院内の電波環境を可視化するツールを開発。同ツールを用いて、埼玉医科大学国際医療センターで電波管理の実証試験を行い、その有効性を確認した。

今回の実験では、施設内の医用テレメータ、無線LAN、携帯電話の電波環境を解析し、電波リスク地帯を事前に特定。可視化による状況把握と情報共有によって、無線環境を最適にする調査等に要する時間が従来の半分以下、病院スタッフの大幅な負担軽減につながったとのことだ。