ソフトマテリアルのナノスケールでの変形状態を3次元で観察

東北大学は、ソフトマテリアルの大変形に伴う構造変化を同視野で3次元観察できる新型電子顕微鏡用試料ホルダーを開発したことを発表した。

東北大学の多元物質科学研究所(IMRAM)の陣内浩司教授、樋口 剛志助教(開発当時)らの研究グループ。

メルビル(ブリヂストン、日本電子)と共同で、ナノ(10億分の1)メートルの分解能で物質の構造を観察することが可能な透過電子顕微鏡(TEM)内で、ソフトマテリアル(高分子ナノ複合材料)を大変形(最大約40倍延伸可能)させながらナノスケールでの3次元構造変化を同視野で追跡できるTEM用試料ホルダーを開発した。

。さらに、この新型ホルダーを用いてタイヤのトレッドゴムモデル材料を300%以上延伸した状態で3次元観察することに成功。ソフトマテリアルの延伸による構造変化は、その性質を理解し高機能化を進める上で非常に重要だが、これまでは計算機実験などにより推測するしかなかった。

この技術により、延伸に伴うナノスケールでの構造変化を連続して立体観察することが可能となり、計算機実験の検証に役立つだけでなく、ソフトマテリアルのタフ化に不可欠な破壊メカニズムの解明に結びつくことが期待されるという。

この研究成果は、2018年6月11日付で『Oxford University Press Microscopy』電子版に掲載された。