靴もIoT、広域省電力ネットワークにて歩き方や走りを3D分析

さまざまなモノをネットにつないで蓄えたデータを分析し、改善や改革、新たなビジネスやサービスを生み支える情報として活用する。「IoT」技術は近ごろ産業および社会インフラのみならず、競技を科学するスポーツ界、ヘルスケアや医療分野でも展開されつつある。

スマートフットウェアを開発する no new folk studio社(nnf)、NTTドコモとIoT製品の事業化を支援するハタプロ社の39meisterチーム、省電力広域(LPWA)規格関連機器を自社開発するグリーンハウスは、靴のカートリッジ型IoTモジュール「ORPHE CORE」を新たにLPWAに対応させて、運動に関するデータを携帯電話回線に依らず伝送・解析する実験に成功した。

(株)ミライトが東京ベイエリアの豊洲地区で展開しているLPWAネットワーク(LoRaWAN™)環境を用いて、6軸モーションセンサ・気圧センサ・振動モータを搭載し、ケイデンス(時間あたりの歩数)やストライド(歩幅)、プロネーション(足首の回転)を3Dにて再現分析できる、nnfの「ORPHE CORE」から、スマホなどを使わず、運動能力や健康状態と密関係にある「歩き」や「走り」のデータを伝送した。

シューズ本体や人体、地面が常に内蔵デバイス通信の障害となる状況下で行われた、実験では、豊洲駅を軸に新豊洲駅から枝川地区までカバーする約2kmのエリアで安定したデータ通信を実現。シューズに格納する通信デバイスの筐体強度や、履き心地などの課題については、10kmの歩行後でも筐体へのダメージが見られず、着用感においては歩行者が通常のシューズとの差異を認識せずに歩行できることが実証されたという。

4社は今後共同で、さまざまな運動解析や見守り機能と、それらの通信基盤・サービスを提供――。取得データを蓄積・研究し、自治体や保険業での健康データ活用サービスなどにつなげていく構えだ。