医療情報を堅固に管理する、システムのクラウド適合性を測る

超高齢化時代へ向かう日本では、医療費の膨張が止らずついに42兆円を突破したという。大問題を人に寄り添いながら解決すべく、健康・医療・介護分野におけるICT(情報通信技術)化が推進されている。

取り組みの肝は、医療情報連携ネットワーク(厚生労働省資料)にある。医療情報とは、カルテや看護記録、検査画像、既往歴や家族構成などのことであり、改正個人情報保護法(個人情報保護委員会資料)の施行後、「要配慮個人情報」として慎重に電子化が進められている。電子カルテの普及率は'16年末で400床以上の大規模病院が約75%、診療所が約35%――と、昨日当BP-Aサイトでも報じた。

医療分野のICT化では、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚労省)、「ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」(総務省)、「医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン」(経産省)などにも留意しなければならない。クラウドの活用によってIT(情報技術)システムの導入・運用負担を軽減し、カルテの電子化を迅速に行う際にも――。

そこできょう、キヤノンITソリューションズ、NEC、日立システムズ、フィラーシステムズの4社は、米国HIPAA対応など医療情報関連システムについて長年の実績を有するAWSの環境において、医療情報を取り扱う際に参照される各種ガイドラインに対応するための「医療情報システム向けAWS利用リファレンス」を共同で作成し、今年7月を目途に、顧客への無償提供を始めると発表した。

取り組みの第一弾は、上記経産省の安全管理ガイドライン。その後3省が定めた各種ガイドラインにも対応していく。4社はこれにより、医療情報システムにおけるAWS環境の活用を促進するとともに、システムコストの最適化や運用管理の効率化を支援する各種ITサービスを提供していく考えだ。