クルマの救急自動通報システム、輸入車も加えて全国で

交通事故が発生した際、救命救急は一刻を争う。重傷者を速やかに搬送し、治療することは、後遺症を軽減するためにも必須である。緊急事態における一連のしくみが、コネクテッドカー(つながる車)時代に向かう日本でも進化発展しようとしている。

きょう、ドクターヘリに関する調査研究機関の救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)、トヨタ自動車、本田技研工業、および日本緊急通報サービス社(HELPNET)は、約2年半前から試験運用を行ってきた救急自動通報システム「D-Call Net®」について、協力を仰ぐドクターヘリ基地病院に加えて、全国約730か所の全消防本部に車両の死亡重症確率データを伝達する体制を整備し、本格運用を開始したことを公表した。

協力病院は、試験運用開始当初の9道県10病院(ヘリ9機)から、現在31道県42病院(ヘリ37機)までに増えた。これは全国で61あるドクターヘリ基地病院(基幹連携病院を含む)の約7割に相当するとのこと。

その活用でドクターヘリの出動時間を17分短縮できるとの試算結果があるという。D-Call Net®は、車両のコネクティッド技術を活用した救急自動通報システムの一つで、交通事故発生時の車両データを、国内の事故データ約280万件をベースとしたアルゴリズムによって自動分析し、死亡重症確率を推定する。

消防本部および協力病院へ通報することにより、ドクターヘリやドクターカーの早期出動判断につなげ、交通事故での救命率向上を目指す。しくみに、ボッシュプレミア・エイドが新たに参画予定であり、両社はサービス開始に向け準備中――。今後は、日本全体の取り組みとして、輸入車ユーザーも含めて対応車種を拡大していく。

都合6社は、協力病院の更なる拡大を図るとともに、病院へのデータ配信方法についても順次改良を加えていくことにより、これをより効果の高いシステムに進化させていく構えだ。