ユースケース別にみると、走行環境、周辺の車の状況、運転者の状態などに応じた安全運転ガイダンスなど、運転上の安全・安心をサポートするユースケースが市場を牽引すると考えられる。
先進運転支援システムを実現するためセンサーシステムを多用する動きは2020年までに急速に進行。車両のカメラやセンサーからだけでなく、V2X(Vehicle to Everything)通信で得られるデータも、安全性の向上に活用される。
そのためデータの種類や量は増大し、データ管理/解析ソフトウェアやITインフラストラクチャ関連ソフトウェア、セキュリティソフトウェアへの支出が拡大すると予測する。「車両/運行管理」のユースケースにおいては、クラウドや人工知能(AI)の活用が始まっている。
今後は特定の産業分野や職種に特化したサービスの開発が進み、車両/運行管理サービスのプラットフォームと、産業/職種特化型アプリケーションへの支出が拡大すると考えられる。広範な産業分野に展開されることで、2020年以降の成長が期待されるという。
産業分野別にみると、国内の自動車OEM、1次サプライヤーなどで構成される「自動車産業」分野が市場の牽引役となる。様々なパートナー企業を巻き込んだデータ利活用に基づくサービス競争を勝ち抜くために、自動車OEMはコネクテッドビークルの情報を蓄積、管理、解析し、有用なインサイトを生み出すための一連のソフトウェア領域への支出を拡大するとみられる。
2020年はパートナー企業との連携に基づくサービス開発が本格化する年と位置付けられ、管理/解析対象となるデータの種類、量はこの期を境に飛躍的に増大すると予測している。「車両/運行管理」というユースケースの最大の顧客となる「運輸」分野においては、サービスプラットフォームに加え、貨物運送/旅客運送における業種特化型のアプリケーションへの支出が2020年~2021年に向けて拡大する。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーである敷田 康氏は「コネクテッドビークル向けプラットフォームを展開するITサプライヤーは、顧客の拡張に対応できる柔軟なソリューション提供体制を整えるべき。車両保有企業を顧客とする場合は、車載通信機器ベンダーなどとの連携に加えて、差別化のために、搭乗者向けのAI音声アシスタントを利用した生産性向上ツールを揃え、顧客にとって有用なコグニティブ/AIシステムの学習用教師データを提供できる企業などとの連携を進めることが重要である」という見解を示した。