従業員の感情を可視化し職場をヘルスケア

昨今この国のあらゆる業種に共通する、経営課題が2つある。江戸時代から続く滅私奉公が美徳とされ、それで高度成長をつかみ取ったとの成功体験に基づく「働き方」をより生産的な現代人の世界に通用する形に変えることと、経営者だけでなく従業員も、その家族も幸せにする「健康経営」。

「働き方改革」については今さら言をまたないだろう。「健康経営」も広く浸透し始めていて、東京証券取引所とともにその銘柄を選定・公表している経済産業省が別途認定し、顕彰している「健康経営優良法人」リストをみると、ここにない法人はマイノリティとさえ思えてくる。認定基準は大規模法人中小規模法人で別だが、内容はほぼ同じ。経営者の率先が必須である点は完全に一致している。

長時間労働などによる体調不良やメンタル不調などの疾患が社会問題となる中、企業では従業員の長時間労働の是正や健康管理の推進などが重要になっているという。NECは、リストバンド型デバイス「Silmee™ W20」(TDK製)を用いて、心拍変動データなどから感情を可視化する「NEC 感情分析ソリューション」の販売活動を開始する。

同社と名古屋市立大学が共同開発を進めている感情分析が可能な感情認識技術と、クラウドサービスやTDKのウェラブルデバイスなどを組み合わせたシステムである、今回のソリューションは、上記デバイスを装着した対象者の心拍変動データなどをリアルタイムに収集・分析することで、「興奮・喜び」「ストレス・イライラ」「憂鬱・疲労」「穏やか・リラックス」の感情を可視化し、専用アプリで現在の感情や1日の感情履歴などを表示できる。

勤怠管理や業務支援、健康管理などの様々な他社サービスとのデータ連携が可能なAPIも提供する。NECは、このソリューションにより、企業は従業員などの隠れた感情疲労や心理的負荷を把握し、情動の変化に応じて適切な対応を早期に取ることが可能という。