情報通信
5Gで使える、100倍速い広帯域アンテナ近傍界測定を実現
実用化が目前である。第5世代移動体通信システム、5Gは「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」といった特長を備えていて、IoTの普及、コネクテッドカーや自動運転の発展などを後押しする、世界中でいま熾烈な標準化および開発競争が繰り広げられている。
日本では東京五輪・パラリンピックの4K・8K放送に向けた取り組みも盛んである。5Gを取り巻く環境やロードマップ、技術課題などが、昨年の「電波の日記念講演会」(総務省資料@電波産業会サイト)で明らかにされている。次世代システムは、最高伝送速度10Gbps(現行LTEの100倍)、100万台/km²の接続機器数(同100倍)、1ミリ秒程度の遅延(同1/10)を主要性能とする。
5Gでは、より広帯域な周波数成分を持つ信号、そして高速通信を可能にするMassive MIMOアンテナ等――多数のアンテナ素子で構成される空中線を用いた通信技術の導入も想定されていて、よりいっそう正確な指向性把握が重要となる。が、上記アンテナは実装面積やコストを理由にコネクタ不保持の設計が主流。ベクトルネットワークアナライザによる近傍界測定システムによる指向性測定も難しくなりつつある。
スペクトラムアナライザ(SPA)により無変調信号を受信し、近傍界測定により指向性を算出する手法も提案されているが、この手法では周波数を変えながらの繰り返し測定を要し、広帯域アンテナの周波数特性を取得するのに時間がかかる。ゆえにより効率的な測定手法が求められていたという。アンリツと京都大学の研究グループは、マルチキャリア変調信号を用いた広帯域アンテナ近傍界測定システムを共同開発した。
一度の測定で変調帯域内の周波数毎の指向性を取得する。新たな手法により今回、指向性の周波数特性を従来比で100倍程度高速に取得可能にした。システムは、「短距離無線通信研究会」にて発表された。