電気自動車(EV)について、世界が注目している。その理由はEVが過去の業界地図を塗り替え、その研究開発および普及がエコロジー(自然環境保護)に直結しているためだろう。大気汚染対策を進める中国は"EV推進"に熱心であり、最近、充電規格の統一で日本との協力を約束した。
EVには、電力源としての役割も期待されている。日本ではいま、町に散在する小さな発電施設をネットワーク化して仮想の発電所にする「バーチャルパワープラント(VPP)」が研究されている。ふだん需要家側にある屋上の太陽光発電パネルや、裏庭の燃料電池、企業の非常用電源等をVPPとして、災害時などに電力を供給する。このしくみに、近ごろ存在感の増しているEVが加わる――。
きょう、九州電力、電力中央研究所、日産自動車、三菱自動車工業、三菱電機の5社は、EVを電力需給の調整に活用するため、EVから電力系統へ電気を供給するV2G(Vehicle to Grid)技術の実証試験を開始すると発表した。通常のEVへの充電に加え、EVに蓄電された電力を電力系統に放電することにより、電力の需給調整への活用の可能性を検証するものだという。
V2Gは、急速に導入が拡大している太陽光発電等の再生可能エネルギーに対する新たな調整力としての活用が期待されていて、低炭素社会の実現に繋がる取り組みとして、今回、次の内容で実証試験を実施する。期間は平成30年6月~
・ V2G機能を有する充放電ステーションの構築及び機能検証
・ V2Gシステム(充放電制御量の指令や実績受信等)の構築及び機能検証
・ EVの充放電制御量に関するポテンシャル評価、検証
この実証試験の一部については、経済産業省資源エネルギー庁の「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業金」(執行団体:一般社団法人 環境共創イニシアチブ)を受けているとのことだ。