昨年のノーベル経済学賞に輝いた行動経済学者リチャード・セイラー氏と、法学者キャス・サンスティーン氏が提唱した。行動変容を促すための方法論であり、人や物を一定方向にそっと押す意味を有するnudge(ナッジ)は、欧米にて省エネ政策の立案や改善に反映されつつある。
日本でも環境省が主体となり行動科学的アプローチの普及を目指す「ナッジ・ユニット」を発足するなど、ナッジを活用した取り組みが広がっているという。DTCは、電力中央研究所、東京電力エナジーパートナー、凸版印刷とともに、環境省が平成29年度に採択した事業案件「家電・自動車等利用に関するナッジを活用した低炭素型行動変容モデルの構築」において、昨年7月から4件の実証を行ったと速報した。
家庭からのCO2排出量の7割を占める家庭の電力消費と自動車の燃料消費由来のCO2を削減可能な「省エネ行動を促すナッジ活用手法(低炭素型行動変容モデル)」の構築を目的とした。同事業では、以下に示す家電利用時の省エネ行動を促進する実証3件と、自動車利用時の燃費改善行動(エコドライブ)を促進する実証1件を実施した(一部の実証は継続中)という。
【ラボ1:スマートメータ版ホームエナジーレポート実証】
【ラボ2:スマートフォンを活用した家庭向け省エネサービス実証】
【ラボ3:新築戸建住宅を対象とした省エネルギーアドバイス実証】
【ラボ4:スマートフォンアプリを活用したエコドライブサービスの実証研究】
4社は、オリックス自動車、監査法人トーマツ、未来工学研究所、イデアラボ、東京大学 先端科学技術研究センター、山梨県エネルギー政策課も参画する産官学連携コンソーシアム体制で、今年度も引き続き、家電や自動車利用の省エネ化に取り組むとともに、新たにブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した省エネ行動を促進する仕組みについても検討を開始し、プレ実証も予定しているという。