マルイ農業協同組合(以下、マルイ農協)と日本電気(NEC)は、鶏舎における鶏の健康管理と鶏卵品質の向上のため、人工知能(AI)を活用した「斃死鶏(へいしけい)発見システム」を共同開発したことを発表した。
採卵事業において、鶏舎のケージ内における鶏の健康の把握・管理作業は重要。特にケージ内の斃死鶏の見逃しは、重大な品質問題を引き起こす可能性がある。そのため、鶏舎では、作業員が毎日各ケージの斃死鶏の検知作業を目視で行っており、作業員の負荷が非常に高くなっていた。NECによると、近年は採卵事業者の規模拡大に伴い、鶏舎大型化による設備の機械化や自動化は進んでいるが、斃死鶏検知作業は人の作業に依存しているという。
今回共同開発したシステムは、この斃死鶏の検知作業をNECの画像認識技術と機械学習技術を組み合わせて自動化するもの。具体的には、鶏舎内の通路を専用の台車で回り、ケージ内を撮影する。この動画をあらかじめ学習させた36万枚の画像と照合し斃死鶏を検知する。
これにより、1鶏舎あたり8千個あるケージ内の8万羽に及ぶ鶏を作業員が1羽1羽目視確認する作業が不要になるとともに、鶏舎のどの位置のケージに斃死鶏がいるのかが一目で分かるよう位置情報が表示できるため、作業の効率化が期待できるという。
これまでの実証実験では、90%以上の高精度で斃死鶏の検知を確認するとともに、従来に比べ斃死鶏検知時間を5分の1に削減できた説明する。
今後、両者は食の安全と作業員の負荷軽減の両立を目指し、実証実験を重ねることで、将来的には、このシステムにロボティクス技術を組み合わせた台車の自動走行の実現も視野に取り組んでいく計画。