無毒性の蛍光ナノゲル温度計を開発、東北大学

東北大学は、細胞内移行能を持ち細胞毒性の極めて少ない、新規のポリマーナノゲル粒子を開発したと発表した。イミダゾリウム骨格を有する新規のアゾ系カチオン性重合開始剤の合成に成功。

東北大学大学院薬学研究科の徳山英利教授らは、東京大学大学院薬学系研究科の内山聖一助教らのグループ、奈良先端科学技術大学院大学の稲田のりこ准教授(当時)らのグループ、キリン R&D 本部基盤技術研究所との共同で成功。

開発した温度応答性のポリマーナノ粒子は、混ぜるだけで細胞内に移行する性質を持ち、様々な種類の細胞の中の温度を計測できるナノゲル温度計として働く。さらに、細胞分裂や細胞の分化といった細胞のふるまいを阻害せずに、安定に細胞内に保持されることも分かった。

東北大学によると、細胞内移行性と低毒性を兼ね備えた粒子の開発は、医療や創薬といった様々な分野で求められていたという。徳山教授らは、イミダゾリウム骨格を有するカチオン性ラジカル重合開始剤を新たに開発し、これを粒子合成法に用いることで、温度応答性ポリマーナノゲル粒子の開発を実現した。

開発した重合開始剤はラジカル重合で合成可能な多くのポリマー合成に応用できるため、今後の機能性粒子の創出に大きく寄与することが期待される。