受精卵に最適な環境で自動的に発育状況を撮影、記録

アステック、浅田レディースクリニック、大日本印刷(DNP)の3社は、不妊治療時の受精卵に最適な培養環境と、受精卵の発育を撮影、記録紙、画像解析ソフトによる受精の自動検出などの機能を持った「次世代型タイムラプスインキュベーションシステム」を開発した。

このシステムは、既存のタイムラプスインキュベータ―に対する浅田レディースクリニックの要望に基づき開発したもの。アステックが開発したタイムラプスインキュベータ―本体と、DNPが開発した専用ディッシュと受精卵の前核(卵子の核と正詩の核とが最初に合体を起こすまでの間)を自動検出するソフトで構成される。

アステックによると、一般的な培養方法である「液滴培養法」では、受精卵の発育を促すためには、一滴の培養液内で複数の受精卵を培養する「グループ培養」が望ましいとされているが、従来のディッシュでは個別管理ができないという。

このシステムで使用する専用ディッシュは、受精卵に最適な培養環境を提供するために設計されており、複数の微細な培養するくぼみである「ウェル」により受精卵の個別管理が容易でありながら、グループ培養を両立できる。

前核自動検出ソフトは、ディープラーニング技術を用いて、撮影された画像を解析し、受精卵の前核を自動検出することで観察作業を効率化し、培養士の負担を軽減する。患者の複数の受精卵がそれぞれ正常に受精しているかを判断するため、胚培養士が前核の確認を行うが、前核の認識には技量と多くの時間を要していた。

システムの価格は1100万円で、受精卵培養ディッシュは別売りとなっている。3社は2020年度で年間50台の採用を目指す。