福島県で水素を活用した発電システム、実証始まる

石油や石炭、天然ガスといった地球から掘り出す化石由来の燃料に対して、それは私たちの周りに自然にある。太陽、風、水、植物や微生物、氷雪、地面の力や温度差を使って、それをエネルギー源として永続的に利用する。

日本の法律にも定められている再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となるCO2をほとんど排出しない優れた動力資源である。(『なっとく! 再生可能エネルギー』より)

だがそれは気象条件などで発電電力が変動し、商用電力系統との連系時に同系統を不安定にさせる課題がある。そうした中で、再生エネ施設や工場の排出ガス等から安定的に抽出・供給可能な「水素」を活用した発電は、その出力が気象等に左右されず、かつ低コストであるため注目されているという。

日立製作所とデンヨー興産は、産業技術総合研究所とともに、福島県において、再生エネから生成した水素を備蓄・輸送し、また同県内の工場の排出ガスから生成した水素を活用して、水素混焼ディーゼル発電機で熱と電気を需要者に供給する「水素混焼発電システム」の実証を開始する。平成30年度福島県における再生エネの導入促進のための支援事業(参考資料)に採択された――。

実証ではまず、保土谷化学 郡山工場の協力のもと、排出ガス由来の水素を用いた水素混焼ディーゼル発電機の燃焼試験を行う。次に、産総研 福島再生エネ研究所の設備で生成した化合物メチルシクロヘキサンから(保土谷化学にて)水素を抽出したうえで、県内産バイオ燃料なども用いて上記システムの実証を行う。発電電力は系統連系し、保土谷化学の工場内にて使用するという。

両社は今後も産総研とともに、石油コンビナート・鉄鋼・化学プラントなどから生成される副生水素を有効活用して電気と熱を自家消費する事業モデルの普及・拡大を推進し、再生エネ電気を平準化して需要家に安定して供給することをめざす。