次世代パワーデバイス材料の結晶欠陥を検出できる技術を開発

産業技術総合研究所(産総研)は、物質に光が入射したとき、散乱された光の中には強度が非常に弱いが入射した光の波長と異なる波長の光が含まれる現象である「ラマンマッピング」像から窒化ガリウム(GaN)半導体結晶の欠陥を検出する技術を開発した。

産総研 窒化物半導体先進デバイスオープンイノベーションラボラトリGaNパワーエレクトロニクスチーム 山田 永 主任研究員、小久保 信彦 元リサーチアシスタント、角岡 洋介 リサーチアシスタント、名古屋大学 未来材料・システム研究所 未来エレクトロニクス集積研究センター 宇治原 徹 教授(兼)GaN-OIL 副ラボ長と共同で開発した。

近年、GaN半導体が次世代パワーデバイスや高輝度発光デバイスとして期待され、研究開発が盛んに進められている。GaN半導体のさらなる高性能化・高寿命化のためには、欠陥の少ない単結晶GaN基板が必要となる。これまでGaN半導体単結晶の構造欠陥である転位を検出するには、大型放射光施設を用いた実験や、試料を破壊するエッチピット法、電子顕微鏡などでの評価を行う必要があったため、より簡便で非破壊の転位検出技術が求められていた。

産総研と名古屋大学はGaN単結晶基板上のパワーデバイス応用を実現するため、GaN半導体中に存在する構造欠陥の形成・消滅過程の解明やその評価技術の研究開発に取り組んだ。

今回開発した欠陥検出技術は、ラマン散乱を応用した技術。研究グループによると、GaN結晶の刃状成分の貫通転位を非破壊で検出できるため、GaN半導体デバイスの製造プロセス改良への貢献が期待されるという。