NTNは、ハブベアリングにタイヤの転舵角度を調整する機構を組み合わせ、業界で初めて前輪に搭載可能なステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」を開発した。ハブベアリングで長年培った設計・製造技術に、モータおよびその制御技術を組み合わせた。
従来のステアリング装置は、ハンドル操作の角度によって転舵するタイヤの角度が一定に設定されており、走行しながら直進やコーナリングなどの走行条件ごとに最適な設定に変更できなかった。
sHUBは、既存のステアリング装置を変更することなく車両の前輪転舵・懸架装置に取り付け可能で、左右各輪の転舵角度を個別に補正することができるモジュール。運転時のハンドルの操作角度と車速のデータをもとにタイヤの転舵角度を最適に補正することで、車両のコーナリング性能や高速直進時の安定性を向上させる。また、スリップなど非常時の車両姿勢の安定化を図るとともに燃費改善にも役立てられる。
車両運動制御については神奈川工科大学と共同研究を行い、sHUBに適した制御方法を導き出した。この制御則を実装した実験車両を用いて、運転時のハンドル操作量が最大4割低減されることを確認しており、sHUBを搭載することで運転の負荷軽減が図れる。また、ドライバーのハンドル操作による車両の応答性が約5割改善するという結果が得られており、運転のしやすさの向上にもつながると説明する。
同製品は、今後の進展が予想されている完全自動運転においても、より安全な危険回避動作を可能にするシステムとして期待できる。今後は、グローバルに提案・市場展開し、自動車の安全性の向上、運転の快適さの向上に努めていく考え。