ファイナンスとテクノロジーを融合させて新たなビジネスやサービスを展開する。フィンテックは近ごろ日本でも勢いを得て、さまざまところで活用され始めている。革新的なしくみの核になっているのはIT(情報技術)であり、ICT(情報通信技術)だ。
金融庁が昨年公表した「金融行政方針」にはこうある。「フィンテックの進展は、足下、消費生活の高度化や資産形成の充実など、家計に変化をもたらす。また、企業については、決済の高度化と相まって、川上(受発注や経理)から川下(決済や債権管理)までの企業の財務・決済プロセス全体をシームレスにIT処理できるようになれば、企業活動の効率化・生産性向上につながる」
革新と同時にITガバナンスも求められている。そこで、NTTデータは、新しいフィンテックサービスを創出するオープンな「BeSTA FinTech Lab®」を立ち上げ、地方銀行の新規事業創発を支援――。その一環として、一昨年6月から京都銀行と「新規ビジネス創発プロジェクト」を実施し、ここで創出したアイデアをベースに、テックファームとともに京都市内で「新しい事業性評価」の仮説検証を目的とした中小企業や周辺環境の調査を行ってきた。
そして3社は今月21日より協同して、新しい事業性評価基盤の開発に向けた実証実験を開始する。今回の取り組みでは、消費者や観光客へ、京都市内でおとなの社会科見学を提供するとともに、その体験アンケートをNTTデータおよびテックファームが分析し、地域事業者および京都銀行にフィードバックする。それにより、事業者での改善や銀行での財務指標によらない定性的な事業性評価に活用できるかを検証するという。
期間は来月10日まで。京都市内の企業と商店街10団体が参加する。現場では日常を可視化するために、観光客向けのエンターテインメント要素を排除した形で体験・見学を開放する。