アドバンテストは、自社のメモリ・テスト・システムを用いて、次世代メモリとして期待されている「スピン注入型磁気ランダム・アクセス・メモリ(STT-MRAM)」の歩留まり率向上と高性能化の実証実験に成功したと発表した。
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)の遠藤 哲郎センター長(兼 同大学大学院工学研究科教授)のグループと共同で成功した。
半導体メモリは、技術の進歩とともに大容量化、高速化が進んできた。しかし現在、高速メモリの主流であるDRAMなどの揮発性メモリは、待機電力の増加という問題に直面している。NANDフラッシュなどの不揮発性メモリは、電力無しで情報を保持できるものの、高速動作や書き換え耐性等の面で課題を残している。
これらの問題を解決するために、磁石の性質を用いた不揮発性メモリであるMRAMの研究・開発が盛んに行われている。中でも、電子が持つ電荷の性質と磁石の性質の両方を利用した「STT-MRAM」は、他の不揮発性メモリでは実現が難しいとされる高速動作、低電圧動作、高書き換え耐性の特性を全て有し注目を集めている。
STT-MRAMの性能評価に際して、アドバンテストはCIESと共同で、メモリ・テスト・システム「T5385ES」をベースに、電気的特性と磁気的特性をあわせ持つSTT-MRAM特有の不良モードを検知可能な、新たな高速テスト・システムを開発した。
そのシステムを用いて、従来の加工技術と新しい加工技術で加工された、2種類のSTT-MRAMの300ミリメートルウエハ全面を評価した結果、新加工技術によって歩留まり率が91%から97%に改善することを確認した。