自動車ドア開閉耐久試験ロボットを販売開始

東陽テクニカは、自動車ドア開閉耐久試験システムのリーディングカンパニーであるドイツのKubrich Ingenieurgesellschaftの、-30℃~85℃の環境温度に対応できる自動車ドア開閉耐久試験ロボットシステム「ROACTERE」を販売開始した。

近年、自動車のドアは軽量化にともない、鉄以外のアルミや樹脂素材の採用が進んでいる。鉄、アルミ、樹脂は素材毎に温度特性が異なるため、環境温度が変化した際にも複数素材で作られたドアが安全性や耐久性を確保しているかを確認する必要があり、今後の自動車ドア開発における重要な試験項目である。

しかし、従来の自動車ドア耐久試験システムは「常温環境下でのみしか操作ができない」「ドアの内側からの開閉操作ができない」「決められた固定箇所からしかドアの開閉が行えない」などの制約があるため、複数素材で作られた新しいドアの性能保証をいかにして行うかが、自動車開発エンジニアの課題になっている。

この問題を解決するため、東陽テクニカは今回、恒温槽内で温度変化を伴うドア開閉耐久試験ができる、自動車ドア開閉耐久試験ロボットシステムであるROACTEREを販売する。自動車のサイドドア、ボンネット、テールゲートを、指定した回数、指定した順番・ポイントから、開閉耐久動作を自動的に繰り返し、自動車ドアの耐久性能を計測する。

従来のロボットは常温近辺でしか稼働させることができないのに対し、ROACTEREは内部にヒーター機構と空冷機構を備えることで、-30℃~85℃と稼動温度範囲が広く、恒温槽内での温度変化を伴うドアの耐久試験を実施できる。複数素材で作られた新しいドアの性能・安全性・耐久性が、広い温度範囲で一定基準に達しているかを検証できる。

また、ROACTEREはロボットタイプで、ドアの開閉スピード、ドアへの接続ポイント、内側・外側、複数ドアの開け閉めタイミングなど、非常に自由度の高い動き・順序が設定できるので、小型車から大型車まで様々な種類の自動車のドア試験でも単一システムで対応することが可能。ドアの外側からはもちろん、内側に設置したロボットからの開閉動作もできる。

従来のサーボモータタイプの耐久試験装置と異なり、ドアへの固定接続と追加重量がなく、ドアの特性を変化させることなく耐久試験を実施できるため、実使用環境をより模擬した耐久試験が可能になる。

さらに、耐久試験実施中のドアの特性も計測しドアの状態を監視できるため、自動車ドアの耐久試験をより効率的に実施することが可能。グラフの作成、レポート出力、データのエクスポートなどデータの収集・解析も簡単・迅速に行え、測定値のリアルタイム解析ができる。