大企業を中心に製造・倉庫などあらゆる業種でIoTの活用による生産性向上や新たな付加価値の創出、働き方改革への取り組みが始まっている。一方、労働人口の減少で、より大きな課題を抱える中堅・中小企業では、IoTによるデータ収集とその活用に関心はあるものの、設備投資等の制約により導入になかなか踏み切れない悩みを抱えていると言われている。
また、比較的IoTの普及が進んでいる設備や機器の稼働監視だけでなく、作業者の動きを可視化し、データ分析することで全体最適を見据えた生産性向上を図ることも求められている。
NECプラットフォームズは、人の動線モニタリングを大がかりなシステム構築や設置工事なしで行う仕組みを検討し、自社工場における実証実験により業務改善効果の検証を行ってきた。さらに定期定額制にすることで、作業者の動きの可視化とデータ収集という先端のIoTを手軽にローコストで導入するサービスの提供を可能とした。
身近なデバイスであるスマートフォンと、低消費電力・電池駆動で設置の自由度が高く、1個当たり4,000円前後のビーコンを組み合わせたシンプルな機器構成で、作業者動線の可視化とデータ収集が可能。
近接ビーコンから位置情報を取得した作業者のスマートフォンは、回線またはWi-Fi無線によりその情報をクラウドサーバへ送信。クラウドサーバには位置データ蓄積機能と可視化機能を有し、管理者端末(PC、タブレット)のダッシュボード画面でその情報を閲覧できる。情報は作業者毎に色分けされて、現在位置、移動軌跡、滞留時間、移動距離を視覚的に分かりやすく表示する。
自社工場の実証運用では、10万通りにものぼるBTO製品を扱い、多品種混流生産を行うラインに対して、ライン停止の原因を把握するため部品供給作業者の動きをモニタリングして分析した。一日の生産品種や台数が毎日変わる中、部品供給サイクルタイムの短縮策と臨時部品供給による遅れ挽回策などの改善施策を実施した。これによりライン停止時間は54%短縮され生産性を向上できたと説明する。
人動線モニタリングサービスの販売価格は、年額20万6,000円(税別)。同社は、2020年度までに1,000件の契約を目指す。