AI/IoTを活用して養殖事業の生産性を向上、タイで実証実験

インターネットイニシアティブ(IIJ)は、日本貿易振興機構(JETRO)の公募事業である「日ASEAN新産業創出実証事業」において、「IoT導入による養殖事業の生産性向上プロジェクト」が採択されたことを発表した。実証期間は2018年4月から2019年3月までの予定。

東南アジアは、養殖業が非常に盛んで重要な輸出産業であり、生産性の向上による競争力強化が求められている。しかし、現状のエビ養殖事業は、水質環境の把握とその変化への対応が作業員の知見に依存することが大きく、過剰な水循環・給餌コストの発生、エビの成育過程での大量のへい死が生じる場合があるなど、水質環境コントロール・作業工程の適正化が課題となっていた。

今回のプロジェクトでは、IoT技術を活用して水質環境を監視し、作業内容と水質環境の相関関係を明確化させることで、適切に水質環境をコントロールし、作業の効率化、適切な生産量の確保につなげることを目指す。

実証実験は、水質環境情報を収集し、遠隔で監視できるIoTシステムを構築し、タイの大手水産加工事業者グループのエビ養殖場で行う。自動で水質環境情報を取得し、アプリケーションを通して遠隔で監視するとともに、飼育作業の記録によって作業状況も可視化することで、水質環境情報と作業工程の相関分析を実施する。

水質環境の維持、エビ成育んための最適な作業工程をシステム側で導き出し、作業にフィードバックすることで生産性の向上を図る。また、システム導入にかかるコストと、作業員の運用負荷と生産性コストの削減効果、生産性向上などのシステム導入による効果を明確化し、ビジネス面での採算性を検証する。

具体的には、エビの養殖槽に水質管理用センサーを設置し、水温・溶存酸素・pH・アンモニウイオン・亜硝酸イオンなどの水質データを自動取得する。センサー情報の収集には、低諸費電力で長距離通信が可能な無線通信技術「LPWA(Low Power Wide Area)」の一つで低コストでの運用を実現する「LoRaWAN」を利用する。

LoRaWANでセンサーから収集した水質データは、IIJグループが提供するIoT向けグローバルSIM「Vodafone IoT SIM」を経由し、タイで関連会社が提供するクラウドサービス「Leap GIO Cloud」に集約する。

pH、イオンなどの水質環境情報を参照するためのアプリケーションは、タイのIT事象者Loxley Public Companyが開発する。PCやタブレット、スマートフォンなどで水質情報を確認でき、給餌、調整剤投与、水替えなどの飼育作業を入力でき、飼育作業記録を可視化できる。実証実験ではAIを活用し、水質環境と飼育作業の相関関係を分析することで、養殖事業における作業効率、生産性の向上を目指す。