新たなポリマー光変調器で世界最高速のデータ伝送を実現!

TOKYO2020の開幕までに自宅のネット環境を"ひかり"にしようかと思案中の人は少なくないだろう。4K・8K映像をストレス無く楽しむにはより高速な通信環境が要る。そうでなくともスマホなど高機能端末が増えて、IoTも進むこの世界は、データトラフィックであふれている。

個人向けのサービスに加えて、法人向けのサービスでも大容量のデータが送受信される。その基盤となるのは通信事業者や企業のデータセンターであり、有線LAN/WANといったコンピュータネットワークを支える技術規格「イーサネット」。それが"ひかり"化している。

イーサネット光伝送においては、データトラフィックの急増に対応する短距離伝送方式とそれを支えるデバイス開発が急務となっている。先端的な光通信デバイスの研究開発の中で、近年、電気光学ポリマー光変調器への期待が国際的に高まっている。しかしその実用化では熱安定性など、デバイス信頼性の大幅な向上が強く望まれていたという。

JSTの「戦略的イノベーション創出推進プログラム」のもと、九州大学の研究グループは、日産化学工業とともに優れた電気光学特性と熱安定性を持つポリマーの開発を、アダマンド並木精密宝石とともに超高速光変調器のモジュール開発を進め、従来の無機系光変調器では到達困難な光データ伝送の高速化と低電圧制御に成功した。

ポリマー光変調器の熱安定化と光伝送の高速化・省電力化を進め、光伝送実験において伝送速度毎秒112ギガビットを達成し、かつ動作電圧を1.5ボルトに低減、105℃での熱安定性を世界で初めて実現した。

シリコン光集積技術への応用も目指していているポリマー光変調器は、データセンターやIoTなど新しいネットワーク技術の高速化・省電力化・低コスト化へのつながりが期待できるという。研究成果はきょう、米国にて開催の「CLEO2018」で発表される。