新たな知識、未知の文化、情報、人との出会いも生まれる"まちの本屋さん"が姿を消しつつある。近ごろ駅前が物悲しくなった。と辺りを見回した翌日、その理由をニュースで知って、「ああ・・・・・・」と再びため息をついた人は少なくないだろう。
書き手と読み手を透明なしかし頑丈な綱でつなぐ端緒、迷ったときには適切なアドバイスももらえる場所が書店であり、このチャネル経由でさまざまな思想や文化、情報などを発信し頒布する出版ビジネスはいま曲がり角にいる。書籍販売の最前線を追うと――。
出版業界では、若年層の読書離れや書籍の電子化が進み、大変革が迫られているという。そこで、出版社と書店をつなぐ日販は富士通と、自社が持つ商品情報や販売実績、購買履歴などをもとに、AI(人工知能)選書サービス「SeleBoo」を開発。売場コンセプトや客層などに合わせて自動で本を選ぶこのサービスを、今夏より全国の取引書店向けに提供する。
約350万点の書誌情報や全国約3,000書店の販売実績情報、DBpediaやLod4allといったオープンデータを、ビッグデータとして、富士通のマーケティングAIコンテナ(関連リンク)で分析し、各店舗向けに本を選定しリスト化する。その評価を書店員がフィードバックすることで、AIが書店員の知識や感性を機械学習し、選書能力を高めていく。
「SeleBoo」ではまず、国内約60万点の書籍を対象にテーマで選ぶ「キーワード選書」のほか、「キーブック選書」、「地名選書」の機能を提供し、その後、店の特徴に合った「書店カラー選書」、画像イメージから選ぶ「表紙選書」などを開発し、さらなるサービス強化を図る。
店頭フェアやイベントでの活用を想定し、魅力ある店舗づくりを支援する。日販と富士通は、出版市場の活性化を図るとともに、カフェや雑貨などと書籍のマッチングによる新たなビジネスモデルの確立も目指していくという。