LED型内視鏡、多重光と画像処理技術でレーザー型同様の性能に

発光ダイオード「LED」は、さまざまな機器の光源として用いられている。寿命が長く...

発光ダイオード「LED」は、さまざまな機器の光源として用いられている。寿命が長く消費電力が小さいものの、一般的にその光は指向性が低く(=波長が長く)、レーザー光のように遠くまで一直線に飛ばせない。

光波の性質を習った覚えのある筆者は先日胃がん内視鏡検査を受けた。鼻孔からチューブを挿入されて、十二指腸の入り口までの画像を医師といっしょにモニターで観ながら、焼き肉屋の上ミノを彷彿させられた。画質は素晴らしく、画色を変えて細部を再確認できる医療機器の先進性に感動させられ、「アルコール性胃酸過多のほかに問題なし」といわれて安心した。

そう。内視鏡検査における画像の高画質化に伴い、消化管内部を直接かつより鮮明に見られるようになったという。富士フイルムは、光源に波長の異なる「白色光観察用レーザー」と「狭帯域光観察用レーザー」とを用いた内視鏡システム「LASEREO」を'12年に発売。2種類のレーザー光の発光比率を変えて粘膜表層の微細な血管や構造などを強調して表示する機能「BLI」や、画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI」などにより、微小な病変の発見をサポート。

特に早期がんに特徴的な粘膜表層の微細血管等の変化の観察で、医療機関から高い評価を得ている。同社は、複数のLED照明の発光強度比を高精度に制御して、白色光と短波長狭帯域光を生成――照射光と画像処理の組み合わせで観察に適した画像を作り出す「Multi-Light Technology」により、「LASEREO」と同様の画像強調機能を実現した、LED光源搭載内視鏡システム「6000システム」を富士フイルムメディカルを通じて16日に発売する。

ワンステップの簡単な操作でプロセッサーに装着できる4種類の専用スコープが含まれてるという。同システムは今月10~12日、「第95回 日本消化器内視鏡学会総会」に出展される。