コネクテッドカーの研究開発が進んでいる昨今、車内へ情報と娯楽をもたらすインフォテイメントも進化しつつある。近未来のクルマはきっと、まるでスマートフォンのように多機能化していて、道案内やメンテナンスの相談などもAIスピーカーのようにお手のものだろう。
けれど室内に置くAIスピーカーと、車載インフォテイメントシステムとでは稼働環境が違う。車は産業道路も高速道路も走り、踏切で停止し、渚の潮騒を横目に、ボディーを叩きつける豪雨や氷雨の中を突き進むことがある。そんな環境下でも、インフォテイメントシステムはドライバーや同乗者の指示を聞き取り、正しくレスポンスしなければならない。そして近未来のそれは、ドライバーの感情を察知して安全運転へと導く役割も果たす――。
きょう、EmpathとNTTドコモは、両社が共同開発した雑音環境での音声感情認識技術を、今年度にAIインフォテイメントサービスへ導入することをめざすと発表した。同技術は、NTTグループのAI「corevo®」を構成するドコモ独自の音声感情認識技術と、Empathの音声感情解析AI「Empath」の技術をもとに開発したもの。
約5ヶ月にわたる認識率向上の取り組みおよび実証実験の結果、停車中から高速走行中までの大小雑音がある条件下で、自然な対話音声による「怒り」「喜び」「悲しみ」の認識を、業界最高水準となる平均正答率75%で実現――。AIの心のこもった声かけにより、ドライバーの眠気やだるさなど、倦怠感の指標値が50%減少し、被験者の93%はAIの寄り添いを感じて気分良く運転できたという。
これにより安心・安全な運転に貢献し、自動車に愛着が生まれるような新しいサービスの創出に取り組んでいく。両社の技術を結集したAIインフォテイメントサービスのコンセプトは今週、東京ビッグサイトで開催の「IoT/M2M展」にて披露される。