金属材料研究所は仙台市と共同で、本システムを活用した「次世代型防災対応エネルギーマジメント」の試験運用を2018年4月から開始していることを発表した。
現在仙台市内には、全小中学校を含む指定避難所など194カ所に防災対応型太陽光発電システムを導入し運用している。昼は太陽光発電から電力供給を行い、災害時には避難所での電気を確保できるシステム。
発電システムには「CO2フリー電力の未利用問題」「蓄電池の寿命問題」という課題があった。今回の取り組みは、未利用電力の有効活用かつ蓄電池の寿命を延ばす次世代型の防災対応エネルギーマネジメント技術を確立するとともにCO2排出量も削減することが目的。
施設の受電電力や太陽光発電電力などの各種データから、施設ごとの需要予測や太陽光発電電力の未利用電力を解析する。また、データ解析結果を利用し、蓄電池の充放電制御モデルを構築して最適化シミュレーションを行う。気象情報、警報情報などに対応可能な防災対応型の充放電パターンを生成する。次に、生成した充放電パターンを各施設の制御装置に設定。設定した充放電パターンで運用した場合の効果をシミュレーションにより検証する。
今回の取り組みのための制御装置導入は既に仙台市内の5カ所で完了しており、2018年4月より試験運用を開始している。今回の検証では実運用における効果を検証するとともに、「仮想発電所:バーチャルパワープラント(VPP)」への展開に関する検討も行う。
VPPとは自治体や企業、個人がそれぞれ持つ発電設備や蓄電設備をまとめ、一つの発電所のように活用する仕組みのこと。各々の発電・蓄電量をまとめて制御することで、大規模な発電所のように電力の需要管理ができるとして期待されている。