農地とつながるIoT、総合ICTの翼を得てもの作り列島を飛翔

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」は今、ロボットや人工知能(AI)とならび第4次産業革命の核心と目されている。その技術は世界中で製造・流通業の生産性や効率を上げつつあり、暮らしや乗り物などを進化させ、農業を未来産業に変えようとしている。

一次産業である農業について、米国シリコンバレーに拠点を置く日本の農業ベンチャーKakaxi社は、「農地とつながる」しくみ即ち、農地から得られる情報をいつでもどこにでも届けられるモニタリングデバイスを開発し、食べ物をモノとして消費するだけでなく、その生産過程にある情報を付加することで価値を向上させ、情報産業として次の世代残すことを目指している。

この新たなビジネス領域において、日本ユニシスはKakaxiへの出資を発表した。同社保有のICT(情報通信技術)とセキュアなビックデータ管理・運用ノウハウを連携させた日本国内でのサービス構築、そして農業分野以外にてもあらゆるモニタリングデータからの情報産業化への可能性の検討に取り組むという。

背景は――。農業生産データの見える化が本邦にても食と農業における生産性の向上・効率化の大きな鍵となる。Kakaxiでは生産物の情報提供サービス、いち早く農業IoTデバイスの開発に着手し、特殊農業技術開発に取り組む生産者に提供。今では大型農場、専用農場を保有するグローバル食品企業への提供も開始し、当該デバイスは農地以外でのニーズも生まれつつある。

IoTデバイス「KAKAXI」は太陽光を電源に内蔵カメラが定期的に農場を撮影し、同時に温度・湿度・日射量・雨量を測定する。世界最小サイズの農地モニタリングデバイスであり、その計測データは内蔵の通信機能でクラウドにアップされ、ウェブ経由で閲覧が可能。今後、ECセンサや土壌水分量センサ、樹液流量センサなどの追加も予定していて、さらなる農業生産の向上に寄与するという。