趣味の世界から飛び立ち、第4次産業革命の一翼を担うまでに成長しつつある小型無人航空機「ドローン」はしかし、航続時間が短い。太陽光パネルを搭載したとしても日没後や曇天の空に弱く、各種機体の平均飛行時間は30分以下だ。
大規模イベント等においては、警備員の目やウエアラブルカメラ、固定監視カメラなどによる状況把握の不足を補うために、ドローンを活用し、俯瞰視点からリアルタイムに全体を把握する必要がある――が、従来のドローンでは、飛行時間の短さのほかに、「準備時間が掛かる」、「映像伝送が不安定」、「コストが高い」といった課題があり、警備システムへの導入が難しかったという。
ALSOKとALSOK福島は、警備・災害監視用ドローンに有線で電源供給と映像伝送を行うことで、長時間・高画質な上空からの監視を実現した「有線ドローンによる広域監視システム」をきょう発表した。平成29年度福島県ロボット関連産業基盤強化事業に採択され、開発した同システムでは、飛行時間が大幅に向上したドローンと高精細カメラによって、安定・高画質なリアルタイム映像で広域を監視することが可能となる。
大規模イベント時には警備の死角を無くし、かつ俯瞰視点からの状況把握による適切な人員配置、人流誘導を実現、より安全で高品質な警備を提供することができる。また、大規模災害発生時には、迅速に被災状況の長時間・リアルタイムな把握・監視を行うことができるという。
今回のシステムは、ALSOK画像クラウドと連動する「有線ドローンによる広域監視サービス」として、今年9月をめどに全国展開――。さらにその先で同社は、このシステムと車両を一体化させて災害発生時に速やかに現地へシステムを輸送し、短い準備時間で飛行させることや、施設に常設し、24時間365日稼動しているALSOK監視センターからの遠隔操作による飛行とリアルタイム映像の提供も実現していく構えだ。