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アト秒周期で振動する電子運動の観測に世界で初めて成功
横浜国立大学は、クロム材料を添加したサファイア(Cr:Al2O3)物質内において、光を照射した際に、アト秒(10-18 秒:100京分の1秒)周期で振動する電子運動の観測に世界で初めて成功したと発表した。
日本電信電話(NTT)の増子拓紀主任研究員、小栗克弥主幹研究員、後藤秀樹主席研究員と横浜国立大学の千菅雄太工学府博士課程前期学生、片山郁文准教授、増田裕行工学府博士課程前期学生、武田淳教授らが成功。成果はに英国科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』で公開された。
研究では、単一アト秒パルスのさらなる短パルス化(パルス幅:192as)を図り、さらに高安定化したポンプ・プローブ光学系(時間揺らぎ:23as)を構築することで、クロム材料を添加したサファイア(Cr:Al2O3)物質内で振動する電子運動(周期:667-383 as)の観測に成功した。
これは、時間分解計測における世界最速の振動応答となり、物質内で混在する二つの材料(クロムとサファイア)間で、電子振動が異なった減衰時間(振動の継続時間)を有していることを初めて解明した。
研究グループによると、これらの光応答現象の物理起源である電子振動を理解することは、物質の新たな光機能性を創出する期待に加え、発光素子(ディスプレイ・発光ダイオード)や光検出器(カメラ・受光センサー)などの効率改善に向けた研究に役立つ可能性があるという。
過去にNTT物性科学基礎研究所では、極短時間のパルス幅(660 as)を持つ単一化されたアト秒パルス光源を開発し、窒化ガリウム(GaN)半導体内部で振動する電子運動(周期:860as)の観測に成功していた。