計測分析機器データをまとめてAI解析、システムの開発へ

日本は今、新たなものづくり大国・科学技術大国をめざしている。その原動力となる、ものづくり現場では、電子顕微鏡、質量分析装置、X線分析装置などさまざまな計測分析機器が使われ、素材や部品、製品の高機能化が進められている。

ものづくりの研究において、多くの機能性材料は、サブミクロン(1μm以下)レベルの局所領域でみると、元素組成や結晶組織などの構造が均一ではないことから、試料のどの位置を計測したのかが重要な情報となる。そのため、さまざまな計測分析機器で、試料の同じ位置を対象に計測し、統合的に解析する必要性が高まっているという。

NEDOは、企業・大学・研究機関との連携により、電子顕微鏡や質量分析装置、X線分析装置などの各種計測分析機器のデータ統合プラットフォームを構築――。メーカーや用途が異なる各種計測分析機器で試料の位置決めを高精度(nm~μm)で行う技術、計測分析機器間のデータを統合する機能、AI(人工知能)による高度な解析機能を持ち合わせた複合計測分析システムの開発に着手する。

多種多様な計測分析機器のデータから、部素材の構造と機能の相関を迅速に解明し、製品開発を加速させるための基盤を確立することで、国内メーカーが強みを持つ計測分析機器の進化・発展とものづくり産業のさらなる競争力強化を目指すという。

事業期間は'18年度から'22年度までの5年間。事業総額は15億円を予定していて、各種計測分析機器のデータを容易に統合解析できる基盤整備により、機能性部素材の開発を加速し、ものづくり産業の発展に貢献する。事業の委託予定先は、下記の10法人だ。

株式会社島津製作所、日本電子株式会社、株式会社日立ハイテクノロジーズ、株式会社堀場製作所、住友ゴム工業株式会社、TDK株式会社、国立大学法人九州工業大学、国立大学法人名古屋大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立研究開発法人理化学研究所