農業IoT、海外の果物などを国内生産可能に

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」は農業にも広がりつつある。ロボット技術やITを利用するスマート農業もIoTが基本、つまり土壌など栽培環境や農機具、車両や作業補助装置等から得られるデータをネット経由で集約してこそ、省力化や高品質生産に活かすことができる。

農業経営の基盤強化および収益性向上を官民一丸となってめざす。現在、海外で人気が高い果物など一部の農作物は、日本の気候が栽培に適さないことや輸入時の品質保持の難しさから、国内ではほとんど流通しておらず、その他農作物の栽培についても、後継者不足が課題になっているという。

国内で関西を中心に光通信サービスなどを展開しているケイ・オプティコムは、促成栽培用機器を開発し促成栽培ノウハウを提供するアクトウォーターフォーラム、および育苗棟を提供するシリアスと協力し、本日より、IoTを活用した農業育成の検証を大阪府八尾市で開始すると発表した。

農業とIoTを組み合わせることで、海外産の果物や野菜など、栽培ノウハウを保有していなくても農作物を育成できるシステムの開発を目指す。取り組みの第一弾として、台湾で生産されているパイナップル釈迦頭(バンレイシ)やフィンガーライムなどの農作物育成にIoTを活用する。今回の検証では、これらの苗を育成に適した環境に保たれた育苗棟内で栽培し、温度、湿度、照度などの環境がその育成に与える影響を確認する。

施設に設置したセンサーや通信機器などを活用して棟内の環境データをIoT管理するだけでなく、電気的刺激や水中の溶存酸素濃度の調節により、収穫量をより多く、収穫時期をより早くする促成栽培を行う予定だという。ケイ・オプティコムは、この取り組みにより、海外の果物や野菜を日本産としていつでも手軽に食べられるようにする、のみならず、育成ノウハウのない人の農業参加を促し、後継者不足という社会的課題を解決する考えだ。