排水廃液を再利用する、循環型グリーン工場を海外にも

昭和の高度成長期に環境破壊が進み、その後この問題を乗り越えた日本では昨今、河川に水生動植物が戻っている。

たとえば万葉の時代から歌に詠まれ、食されてもきた、香魚は京浜間の流れをさえ遡っていく。けれども新興国は、今からかつての日本と同じ轍を踏むまいと、解を模索している。

人口と産業の集中が進むインド、中国などでは、産業排水による水質汚染が年々深刻化し、排水の水質改善や環境保全のニーズが高まっている。特に近年排水に対する環境規制の強化により、排水・廃液をゼロ化(ZLD:Zero Liquid Discharge)する動きが進んでいて、水環境イノベーションが求められているという。

この社会的ニーズに合わせ、日東電工(Nitto)はきょう、逆浸透膜製造工場である滋賀事業所において、今後5年以内に自社の逆浸透膜技術を活用することで、環境に配慮した取り組みとなる「循環型グリーン工場」を目指すと発表。'19年までに新製品を開発し、インドや中国など、産業排水の規制が高まる新興国向けに市場投入していくとした。

今回、滋賀事業所の逆浸透膜製造工程で生じる排水の利用率を50%から90%に向上させ、同時に廃液の再利用を進めていく。「循環型グリーン工場」では、排水・廃液を効率よく濃縮するために、超高圧に耐えられる逆浸透膜エレメントが必要であり、同社はこの事業所の排水・廃液を用いて技術検証を行い、製品開発をする。

Green(環境関連)、Clean(新エネルギー)、Fine(ライフサイエンス)の分野で事業ポートフォリオを拡大し、お客の価値創造を通して、社会や人々の健やかで快適な生活の実現をめざす。Nittoは、循環型グリーン化工場の達成により環境負荷の低減をはかるとともに、滋賀事業所で実証した新製品を国内外のZLD用途などに展開することで、水資源の再利用化の促進に貢献していく考えだ。