トンネル全断面点検システムの実証実験、東急建設

東急建設は、2018年2月10日から16日にかけて、内閣府「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」で開発中の「トンネル全断面点検システム」の実証実験を自社施工のトンネル工事で実施した。

トンネル全断面点検システムでは、道路をまたぐ形でトンネル内を走行するため、自動車などの通行を妨げずに点検を行うことを目標としている。また、覆工コンクリートのひび割れと浮きを自動検出するひび割れ検出ユニット、打音検査ユニットを装備することで定量的で、経時的な変化も検出可能な点検データを取得できるだけでなく、点検から帳票作成までの作業効率を向上させることも期待されているという。

実証実験は、千葉県発注の「社会資本整備総合交付金工事(内浦・(仮称)新実入トンネル工)」(一般国道128号)で行われ、点検作業の手順や、取得した点検データの解析時間について検証を行った。また、実証実験期間中には発注者主催の見学会が行われた。今後は、既設トンネルの定期点検だけでなく竣工前検査での活用についても検討を進める予定。

高度成長期に建設された橋梁やトンネルなどの道路構造物の高齢化が進み、2033年には全国に約1万本ある道路トンネルの約50%が建設から50年以上が経過すると試算されている。同社では、今後懸念される重大な事故リスクの顕在化や、維持修繕費の増大、熟練技術者の減少に対応する新たなインフラ維持管理技術として、トンネル全断面点検・診断システムの開発を進めている。