いざ! 日本は資源大国の道をゆく

製造大国をめざす日本には技術力がある。それは電子部品や小型モーター、精密加工・研磨、産業ロボットや自動車等で世界に証明済みだ。しかし資源がない。エネルギー、産業、医療分野で次世代の高機能・高性能製品をつくるための資源、レアアースなどは輸入に頼りっきりだ。

たとえば次世代自動車には、モーターの磁石用にネオジウムやジスプロジウム、液晶ディスプレイ用にセリウム、排ガス触媒としてセリウムといったレアアースが必要となる(経済産業省資料より)。

17種類のレアアース元素は「産業のビタミン」とも呼ばれ、最先端産業に必須の金属材料である。一方、その世界生産は現在中国の寡占状態にあり、供給構造の脆弱性が問題となっている。新興国を中心に今後も需要の増大が予想される、レアアースの安定的な確保は不可欠であり、日本の排他的経済水域内(EEZ)におけるレアアース泥の分布およびレアアース資源量の正確な把握が望まれていたという。

早稲田大学と東京大学の研究チームは、千葉工業大学、国立海洋研究開発機構、東亜建設工業、太平洋セメント、東京工業大学、神戸大学と共同で、南鳥島周辺海域レアアース泥の資源分布の可視化とそれに基づく資源量の把握を行い、世界需要の数百年分に相当する莫大なレアアース資源が存在することを明らかにした。さらに、レアアース濃集鉱物を選択的に回収する技術の確立にも成功した。

日本が技術的優位性を有する最先端産業の中で特に重要なジスプロシウム、テルビウム、ユウロピウム、イットリウムをはじめとして、有望エリアの全海域の資源量は1,600万トン超と推定。レアアースの大半が含まれる生物源のリン酸カルシウムに着目し、粒径分離によってレアアース濃集鉱物を選択的に回収する技術を確立したことにより、中国陸上レアアース鉱床の20倍程度まで品位を向上させられるという。同研究チームは、将来的には濃集鉱物のみを回収することで50倍以上の品位を目指す。

レアアース泥は、'11年に東京大学教授らによって発見された新タイプの海底鉱物資源であり、「高い総レアアース濃度を示し、特に産業上重要な重レアアースに富む」、「太平洋の広範囲に分布するため膨大な資源量が見込まれる」、「遠洋性の深海堆積物として層状に分布するため資源探査が容易である」、「開発時の環境汚染源として問題となるトリウムやウランなどの放射性元素をほとんど含まない」、「常温の希酸で容易にレアアースを抽出できる」といった特長を備えている。

国の資源戦略に対しても極めて大きなインパクトを与える。南鳥島レアアース泥の開発が実現すれば、世界においても海底鉱物資源の開発が進展するとともに、レアアースを活用した多様な最先端産業の発展・創出といった波及効果が期待される。研究成果は、オンライン科学誌「Scientific Reports」に掲載された。